「また大雨か…」そんな風に空を見上げる機会が増えていませんか？
近年は台風や集中豪雨が、毎年のように日本各地を襲っています。
そして、ほんの一晩で家が浸水したり、土砂崩れに巻き込まれたりと、日常が一変するケースも少なくありません。
2024年には、各地に深刻な爪痕を残した台風がありました。
今回はそうした実際の災害事例を交えながら、「雨による災害にどう備えればいいのか？」を、防災の基本からやさしくご紹介していきます。
今できることを、一緒に見つけていきましょう。
雨が引き起こす災害とは？
雨による災害は、「いつもの雨」と油断しているうちに、私たちの暮らしを襲うものです。ここでは主な被害の種類と、その危険性を整理してみましょう。
● 土砂災害
大雨によって地盤が緩み、がけ崩れ、地すべり、土石流などが発生します。特に、山の近くや斜面沿いの住宅地では、雨が続いた翌日に突然崩れるケースも。
地中にたまった水が限界を超えると、前触れもなく一気に土砂が流れ出すため、避難の判断が難しい災害のひとつです。
● 浸水・内水氾濫
都市部では、排水能力を超えた大雨が降ると、道路や住宅地がまるで川のように水であふれることがあります。
アスファルトの多い市街地では水の逃げ場が少なく、地下室やマンションの駐車場が水没する事例も増えています。
● 河川の氾濫
中小規模の河川や用水路でも、短時間の集中豪雨で堤防を越えて水があふれ出すことがあります。氾濫した水は思いのほか速く、歩行者や車両を押し流してしまうことも。
【実例】2024年の台風10号がもたらした被害
2024年8月下旬、日本列島に接近した台風第10号は、記録的な雨と風をもたらしました。
この台風の影響で、九州南部では72時間降水量が観測史上1位を更新。宮崎県や鹿児島県では土砂災害が相次ぎ、住宅の損壊や停電、交通機関のマヒなど深刻な被害が広がりました。
特に注目されたのは、宮崎県で発生した竜巻とみられる突風による住宅の倒壊。
さらに、福岡や熊本では川の増水による避難指示が出され、一部地域では1万人以上が避難生活を余儀なくされました。
「たった一晩で、家の中に腰まで水がきた」
そんな声も多く聞かれ、大雨への備えの大切さが改めて注目された災害でした。
雨による災害を防ぐために、今できること
「こんな時どうすればいいの？」と感じたら、まずは次の基本を確認してみましょう。
今日からでもできる、防災への第一歩です。
● ハザードマップを確認する
お住まいの地域がどんな災害リスクを抱えているのか、まずは知ることが大切です。
国土交通省や市区町村のホームページ、防災アプリでは、洪水・土砂災害・津波など、地域ごとのリスクを地図上で確認できます。
「この道は冠水しやすい」「あの坂の下は危ないかも」と、あらかじめ知っておくことで、いざという時の判断が変わります。
● 家のまわりを点検・掃除する
雨樋のつまり、側溝にたまった落ち葉やゴミは、小さなきっかけで大きな浸水被害の原因になります。
梅雨や台風前には、ぜひ家のまわりを点検して、排水の道を確保しておきましょう。
また、ブロック塀や擁壁にひび割れや傾きがないかもチェック。特に築年数の経った住宅では、早めの修繕が命を守ることにつながります。
● 非常用品の備えは万全に
防災リュックには、水（1人1日3L）・非常食・モバイルバッテリー・懐中電灯・簡易トイレ・常備薬などを最低3日分、できれば1週間分そろえておくのが理想です。
さらにおすすめなのが、携帯用浄水器。
浸水被害が起きると、生活用水や飲み水の確保が困難になることも。
コンパクトで電源不要の浄水器が1つあるだけで、安心感がぐんと高まります。
雨が降り始めたら…災害前の行動がカギ！
◆ 最新の気象情報を確認する
テレビやアプリ、X（旧Twitter）などで雨雲の動きや警報の発表を確認しましょう。
特に「大雨特別警報」「土砂災害警戒情報」などが出たら、迷わず避難準備を進めてください。
◆ 家族と連絡方法を決めておく
「連絡が取れないと心配で動けなくなる」
そんな事態を防ぐために、家族間で避難時の連絡手段や集合場所をあらかじめ共有しておきましょう。
通信が途絶える場合もあるため、玄関に書き置きを残す、あらかじめ紙で一覧を用意しておくなど、アナログの手段も意識しておくと安心です。
◆ 早めの避難が命を守る
「まだ行けるかな…」と様子を見ているうちに、外が危険な状態になっていることもあります。
特に川の近くや坂の下に住んでいる方は、避難指示が出る前の自主避難も選択肢のひとつ。
避難は“早すぎる”ことはありません。迷ったら「一歩、外へ」が合言葉です。
おわりに 〜“備え”がくれる安心〜
私たちは自然の前では無力だと感じる瞬間があります。
でも、その中でも「備えること」「知っておくこと」は、命を守る力になります。
過去の災害を知ることは、未来を守る第一歩。
今日の一歩が、明日の安心をつくります。
防災リュックの見直し、家族との話し合い、ハザードマップのチェック。
できることから始めて、あなたの暮らしに小さな安心を積み重ねていきましょう。
